第23章 他人の不幸は蜜の味

傍らにいた有村雄也は、ロビーマネージャーが工藤達央をこのまま逃がしてしまうのではと焦り、慌てて腰を低くして言った。

「マネージャー、この工藤達央ってガキの言うことは信じちゃダメです。こいつは、うちの有村家から叩き出された役立たずの婿でしてね。追い出されたときは一文無し、文字どおり財布も空っぽで家を出たんです。いまじゃ大通りで物乞いしてるようなホームレス同然ですよ。ロイヤルホテルで金を使えるわけがない。つまり、客のはずがありません」

有村雄也は、他人の手で始末してもらう気満々だ。ここで引くつもりなど、最初からない。

案の定、その言葉は効いた。

ロビーマネージャーは一つ頷き、有村雄也へ言...

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